
B’zの「その先へ」を初めて聴いたとき、私はなんとも言えない温かさに包まれました。派手なロックサウンドではなく、むしろ静かに、でも確実に心の奥底に染み込んでくる楽曲。この曲には、私たちが日々生きる中で見落としがちな「小さな奇跡」への眼差しが詰まっていると感じています。
今回は、この温もりあふれる楽曲の歌詞を、私なりの視点で深く掘り下げていきたいと思います。
目覚めという名の、毎日の奇跡

冒頭の「目が覚めあなたがいる」というフレーズ。これほどシンプルで、これほど深い言葉があるでしょうか。
私たちは毎朝、当たり前のように目を覚まします。でも、本当はそれ自体が奇跡なんですよね。そして、大切な人が隣にいる。それは「淡い喜び」なんかじゃない——いや、だからこそ「淡い」という表現が絶妙なのだと私は思います。
「淡い喜び」に込められた奥深さ
| 言葉の選び方 | 私の解釈 |
|---|---|
| 「大きな喜び」ではなく「淡い喜び」 | 派手ではないけれど、確かに心を満たす穏やかな幸福感 |
| 「旅の始まり」 | 毎日が新しい物語のスタート地点という前向きな視点 |
| 「隠されている」サプライズ | 人生は予測不可能で、それがむしろ美しいという肯定 |
稲葉さんの歌詞はいつも、大げさな言葉を使わずに本質を突いてきますよね。「淡い」という形容詞ひとつで、朝の光の柔らかさ、目覚めたばかりの意識の曖昧さ、そして何より「当たり前だけど特別」という矛盾した感情をすべて表現しているように感じます。
人生は「大小のサプライズ」に満ちている

「隠されているのは 大小のサプライズ」——このフレーズを聴くたび、私は人生観が少し変わる気がします。
私たちはつい、大きな出来事ばかりを「特別なこと」だと考えてしまいがちです。結婚、出産、昇進、夢の実現……。でも、この歌詞が教えてくれるのは、小さなサプライズにも目を向けようということではないでしょうか。
日常に潜む「小さなサプライズ」たち
- 予想外に美味しかった朝のコーヒー
- ふと聴いた音楽が心に響いた瞬間
- 久しぶりに友人から届いたメッセージ
- いつもと違う道で見つけた綺麗な花
- 子どもの何気ない一言に込められた成長
こうして書き出してみると、人生って本当に「サプライズ」だらけなんですよね。ただ、私たちが気づいていないだけで。
「愛に満ちてる合図」という続く歌詞も素晴らしい。これらのサプライズは、ランダムな偶然ではなく、世界からの「愛の合図」だと捉える視点。なんてポジティブで、でも押し付けがましくない優しさでしょう。
「ひとコマひとコマを慈しむ」という生き方の哲学
「今日は今日できっと 積み上げられる ひとコマひとコマを 慈しむよ」
この部分、私は何度聴いても胸が熱くなります。
「慈しむ」という動詞の選択
「過ごす」でも「楽しむ」でもなく、「慈しむ」。この言葉の選び方に、稲葉さんの人生観が凝縮されていると思うんです。
慈しむとは:
- 深い愛情を持って大切にすること
- 丁寧に扱うこと
- 一瞬一瞬に敬意を払うこと
私たちの人生は、写真のアルバムのように「ひとコマひとコマ」で成り立っています。そして、それぞれのコマには必ず意味がある。楽しい瞬間も、辛い瞬間も、退屈に感じる瞬間でさえ、すべてが私たちの物語を形作る大切な1ページなんですよね。
この「積み上げられる」という表現も秀逸です。人生は流れ去るものではなく、積み重なっていくもの。過去の経験が土台となり、今この瞬間がさらにその上に積まれていく。だからこそ、一つひとつを大切にしようという、静かでありながら力強いメッセージを感じます。
「輝き続ける時間と命」が教えてくれること

サビに入ると、スケールが一気に広がります。「輝き続ける時間と命 泣いて笑って行きましょう」
ここで私が特に注目したいのは、「輝き続ける」という現在進行形の表現です。
時間と命は、常に輝いている
| よくある表現 | この曲の表現 | 違いから読み取れること |
|---|---|---|
| 「輝かせよう」(意志) | 「輝き続ける」(現在進行) | 命は既に輝いている。私たちがそれに気づくかどうかの問題 |
| 「輝きを取り戻そう」(回復) | 「輝き続ける」(継続) | 輝きは決して失われていない。常にそこにある |
この視点、本当に救われませんか? 私たちは時々、「自分の人生は輝いていない」と感じてしまうことがあります。でもこの歌詞は、そうではないと優しく教えてくれる。命は、時間は、常に輝き続けている。ただ、私たちがその光を見失っているだけなのだと。
「泣いて笑って」という人生の両面性
そして続く「泣いて笑って行きましょう」というフレーズ。これも深いです。
泣くことも、笑うことも、どちらも人生の大切な要素として平等に扱われています。よくある励ましの言葉だと「笑顔で行こう!」みたいになりがちですが、この歌詞は違う。泣いてもいいんだよ、と言ってくれている。
私は、これが本当の意味での「人生の肯定」だと思うんです。辛いことから目を背けず、でも悲しみだけに支配されることもなく、喜怒哀楽すべてを抱えて歩いていく。それが生きるということなのでしょう。
「音楽に誘われ 僕らその先へ」— 音楽の導き手としての力

そして印象的なのが、「音楽に誘われ 僕らその先へ」というフレーズです。
B’zというロックバンドが歌うからこそ、この言葉には特別な重みがあると私は感じます。彼ら自身が音楽と共に30年以上歩んできたアーティストだからこそ、この言葉には説得力がある。
音楽が持つ「誘う」力
音楽は私たちを「その先へ」連れて行ってくれます。
- 過去の自分から未来の自分へ
- 孤独から繋がりへ
- 絶望から希望へ
- 日常から非日常へ
私自身、落ち込んだとき、一曲の音楽に救われた経験が何度もあります。音楽には、言葉だけでは届かない場所に届く力がある。メロディーとリズムが、理屈を超えて心を動かしてくれる。
この曲もまた、誰かを「その先へ」誘う音楽になっているのだと思います。聴いた人の心に灯をともし、一歩前へ進む勇気を与えてくれる。そんな循環がここにはあります。
「古びた思い出」を通して見る、新しい夢の形

2番の歌詞に入ると、また違った視点が展開されます。「古びた思い出に 今の自分を透かしてみれば ごらんよまた新しい夢の形 浮かび上がるだろ」
この部分、本当に美しい詩的表現だと思います。
「透かしてみる」という比喩の妙
「透かす」という動詞の選択が絶妙です。過去と現在を重ね合わせて、光に透かすように見てみる。すると、そこに新しいパターンが浮かび上がる——。
まるで二重写しの写真のように、過去の自分と今の自分が重なり合う瞬間。そこに見えてくるのは、当時は気づかなかった意味や、新しい可能性。
過去は単なる「過ぎ去ったもの」ではありません。
- 過去は現在を照らす光源
- 思い出は新しい夢を浮かび上がらせる装置
- 「古びた」ものの中にこそ、「新しい」何かが隠れている
私たちは時々、「もう過去のことだから」と切り捨ててしまいがちです。でも、この歌詞が教えてくれるのは、過去と今を繋げることで見えてくる景色がある、ということ。昔の夢が叶わなかったとしても、それは形を変えて、今の私たちの中で新しい夢として生まれ変わっているのかもしれません。
「誰もがめくるめく大歓声を心に響かせて」— 内なる応援団

「誰もがめくるめく大歓声を 心に響かせて歩んでゆくよ」
このフレーズを初めて聴いたとき、私は鳥肌が立ちました。
見えない応援者たちの存在
実際には聞こえない「大歓声」。でも、心の中にはそれが確かに響いている——この発想が素晴らしいと思うんです。
私たちは孤独に見えても、実は:
- 過去に出会った人々の励まし
- 家族や友人の言葉
- 尊敬する人の生き様
- 音楽や本から受け取ったメッセージ
- そして、未来の自分からのエール
これらすべてが、心の中で「大歓声」となって私たちを支えてくれている。誰も見ていないと思える瞬間でも、私たちは決して一人ではないんですよね。
「めくるめく」という言葉の選択も印象的です。回転する、目まぐるしい、華やかな——そんなイメージ。心の中の応援団は、いつもそんなふうに私たちを応援してくれているのかもしれません。
「交わり続ける時間と命」— つながりの中で生きる

サビのリフレインで現れる「交わり続ける時間と命」。
最初のサビでは「輝き続ける」でしたが、ここでは「交わり続ける」。この変化に、私は深い意味を感じます。
人生は「交差点」だらけ
私の時間 ←→ あなたの時間
私の命 ←→ あなたの命
過去 ←→ 現在 ←→ 未来
人生は無数の交差、交流、出会いと別れで成り立っています。
- 誰かと目が合った瞬間
- 言葉を交わした会話
- 一緒に過ごした時間
- 別れた後も心に残る思い出
すべてが「交わり」です。そして、それは一度きりではなく「交わり続ける」。過去に出会った人も、今も心の中で私たちと交流し続けている。未来に出会う人も、既にどこかで私たちの人生と交差し始めているのかもしれません。
この視点を持つと、人生がもっと豊かに、もっと意味深く感じられる気がします。
「ずっとずっと先へ」— 終わりなき旅の肯定

「今も向かってる 僕らその先へ ずっとずっと先へ」
この繰り返しが、曲のクライマックスを作り上げます。
「ずっと」の重なりが持つ意味
「ずっと先へ」ではなく、「ずっとずっと先へ」。この繰り返しに込められた想いを考えると、胸が熱くなります。
この「ずっとずっと」が表現しているもの:
- 終わりのない旅路 — ゴールを目指すのではなく、旅そのものを楽しむ姿勢
- 諦めない意志 — 困難があっても進み続ける決意
- 可能性の無限性 — 人生にはまだまだ先がある、という希望
- 時間の連続性 — 今日の先に明日があり、その先にまた明日がある
私たちはよく「目標達成」を人生のゴールのように考えてしまいます。でも、本当はそうじゃない。何かを達成しても、その先にまた新しい「先」が広がっている。それは終わりなき旅であり、だからこそ美しいのだと、この歌詞は教えてくれているように思います。
「僕らだけが紡げる調べ」— あなたの人生の主題歌

最後のフレーズ「鳴らしてみればいい 僕らだけが紡げる調べ」。
この言葉で曲は締めくくられます。そして、これほど力強く、希望に満ちたメッセージはないと私は思います。
一人ひとりの人生は、オリジナルの音楽
| 音楽の要素 | 人生に置き換えると |
|---|---|
| メロディー | 日々の出来事の流れ |
| リズム | 生活のペース、鼓動 |
| ハーモニー | 人との関わり、調和 |
| 歌詞 | 私たちが紡ぐ物語 |
「僕らだけが紡げる」——これは、あなたの人生は世界でたった一つのものだ、というメッセージです。
誰かと比べる必要はない。誰かの真似をする必要もない。あなただけの「調べ」を、あなたのペースで、あなたのやり方で鳴らせばいい。
「鳴らしてみればいい」という優しい背中押しも素敵です。命令ではなく、提案。でも、その中には確かな信頼がある。あなたには、あなただけの音楽を奏でる力があるんだよ、という信頼。
まとめ:「その先へ」が教えてくれる、生きることの美しさ

この曲全体を通して感じるのは、日常への深い愛情と、未来への静かな希望です。
この曲から受け取れるメッセージ
- 毎日は奇跡の連続 — 目覚めること、誰かがいること、それ自体が特別
- 人生はサプライズに満ちている — 大きなことも小さなことも、すべてが贈り物
- 一瞬一瞬を慈しむ生き方 — 過ぎ去る時間ではなく、積み重なる経験として
- 泣いても笑ってもいい — 感情のすべてが、生きている証
- 音楽と共に歩む力 — 芸術が私たちを導き、支えてくれる
- 過去と現在の対話 — 思い出は新しい夢を照らし出す光源
- つながりの中で生きる — 私たちは決して一人ではない
- 終わりなき旅の肯定 — ゴールではなく、旅そのものが人生
- 自分だけの音楽を奏でる — あなたの人生は、唯一無二の作品
最後に:この曲と共に歩む
B’zの「その先へ」は、派手なロックチューンではありません。でも、だからこそ、日常の中でふと聴きたくなる曲なのだと思います。
朝、目が覚めたとき。 大切な人と過ごすとき。 過去を振り返るとき。 未来に不安を感じるとき。 そして、ただ今を生きているとき。
この曲は、そんなあらゆる瞬間に寄り添ってくれる。「大丈夫、君の人生は輝いているよ。さあ、その先へ進んでいこう」と、静かに背中を押してくれる。
私はこの曲を聴くたび、自分の人生をもう少し丁寧に生きようと思います。一日一日を、ひとコマひとコマを、慈しもうと思います。
あなたも、この曲と共に、「その先へ」歩き出してみませんか?
私たちだけが紡げる調べを、鳴らしながら。


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